良い商品があるのに、なぜ2店舗目で失敗するのか

良い商品があるのに、2店舗目で失敗する店があります。

1店舗目はうまくいっています。

お客様も来ています。

SNSで話題になることもあります。

売上も出ています。

周囲からは、「これは2店舗目もいけるのでは」と見られます。

実際、1店舗目が稼げていると、資金調達もできることがあります。

働きたい人も、意外と集まります。

スキルが高い人ではなくても、やる気がある人。

家族や友人。

店主の考えに共感してくれる人。

ここまでは、勢いで進めることができます。

でも、2店舗目が本当に難しくなるのは、そのあとです。

創業オーナーが現場にいる間は、2店舗目もそれなりに回ります。

問題は、部下に任せる時間が増えたときです。

その瞬間に、品質やサービスが落ちることがあります。

理由は、商品力がないからではありません。

人が悪いからでもありません。

店主が無意識にやっていた判断が、言葉になっていないからです。

1店舗目は、店主の判断で回っています

1店舗目では、店主がすべてを見ています。

味の違い。

接客の空気。

お客様の表情。

スタッフの迷い。

仕込み量。

売れ残り。

クレームの小さな芽。

こうしたものを、店主は感覚で見ています。

そして、その場で微調整しています。

これは大きな強みです。

でも、2店舗目では弱みに変わります。

なぜなら、その感覚を別の人が使えないからです。

店主の頭の中にある判断基準が、言葉になっていない。

だから、スタッフは何を基準に判断すればいいのかわからない。

店長も、どこまで任されているのかわからない。

結果として、現場の判断がぶれます。

2店舗目は「つまずきが明らかになった店」です

「2店舗目」というのは、象徴的な言い方です。

実際には、3店舗目でつまずく会社もあります。

10店舗くらいまで勢いで伸ばせる創業者もいます。

そういう創業者は、人をその気にさせる力や、巻き込む力がかなり強いです。

ただ、そういう人は多くありません。

多くの場合、どこかのタイミングで、店主本人の力だけでは回らない地点が来ます。

その地点が、2店舗目です。

つまり、2店舗目とは「つまずきが明らかになった店」です。

商品が弱いわけではありません。

むしろ、商品が強いからこそ、勢いで広げてしまうことがあります。

でも、事業を広げるには、商品力だけでは足りません。

店主の中にある判断を、言葉にする必要があります。

現場の知恵を、手順や基準に変える必要があります。

お客様との関係を、紹介や立地だけに頼らない形にする必要があります。

再現性は、マニュアルを作るだけではありません

ここで必要になるのが、再現性です。

再現性というのは、単にマニュアルを作ることではありません。

開業する前にも、考えることがあります。

どこに店を出すのか。

店のつくりは同じにするのか。

レイアウトや客席、看板はどうするのか。

そして開業したあとにも、考えることがあります。

何を良い状態とするのか。

どこまで任せてよいのか。

迷ったときに何を見て判断するのか。

こうしたことを、次の人に渡せる形にしていく。

それが、ここでいう再現性です。

商品、原材料、レシピ、店舗のレイアウトなどは、比較的カタチにしやすいです。

でも、本当に難しいのは、店主が無意識にやっている判断です。

飲食店であれば、同じ品質、同じサービスだとお客様に感じてもらえるか。

整体やリラクゼーションであれば、施術者が変わっても、お客様が安心できるか。

ここは、職人本人の感覚だけでは広がりません。

言葉にすべきことは5つあります

少し解像度を上げてみましょう。

1つ目は、「良い品質の基準」です。

パン屋なら、焼き上がりの状態です。

整体なら、施術後のお客様の状態です。

リラクゼーションなら、接客の距離感です。

これを職人本人は感覚でわかっています。

でも、スタッフに渡せる言葉になっていないことが多いです。

2つ目は、「任せてよい判断の範囲」です。

どこまで店長が決めてよいのか。

どこからオーナーに確認すべきなのか。

ここが曖昧なままだと、店長は動けません。

または、勝手に動いてズレます。

3つ目は、「お客様に何を約束しているのか」です。

店主本人は、お客様が何を期待して来ているかを肌で感じています。

でも、それが言葉になっていないと、スタッフは表面的な接客しかできません。

4つ目は、「教育の順番」です。

やる気のある人が集まっても、何から覚えればいいのかが整理されていない。

スキルよりやる気。

家族や友人だから大丈夫。

そういう形で始めると、最初は回ります。

でも、忙しくなるほど教育が場当たり的になります。

5つ目は、「数字で見るべきポイント」です。

売上だけ見ていると、1店舗目の勢いに引っ張られます。

でも2店舗目では、原価、人件費、客数、リピート、クレーム、スタッフ定着などを見ないといけません。

ここが見えていないと、気づいたときには苦しくなります。

まず、店主しか判断できないことを書き出す

多店舗化したいなら、店主がいなくても稼げる店に近づける必要があります。

いきなり完璧な仕組みを作る必要はありません。

まずやることは、難しくありません。

「店主しか判断できないこと」を10個書き出してみてください。

味のこと。

接客のこと。

教育のこと。

クレーム対応のこと。

仕込みのこと。

数字のこと。

その10個が、再現性づくりの入口になります。

パン屋であれば、パン職人が必要です。

でも、経験者のパン職人ありきで考えると、多店舗化は難しくなります。

同じパン職人でも、経験も判断もバラバラだからです。

整体やリラクゼーションでは、属人的な部分がかなり大きくなります。

業務委託も多い業界です。

スキルがある人は、より稼げる店に移るか、独立することもあります。

だからこそ、人に依存しすぎない仕組みが必要になります。

もちろん、多店舗化に成功している会社もあります。

業界によって、店舗数のハードルは違います。

それでも、成功している会社は、多店舗化のベースを作る努力をしています。

店舗型ビジネスの再現性は、人と仕組みの組み合わせでできています。

良い商品があるだけでは、広がりません。

良い技術があるだけでも、続きません。

その価値を、次の人に渡せる形にする必要があります。

現在、職人型ビジネスの再現性チェックリストを作成中です。

完成したら、このブログで案内します。